『太陽光発電の設置費用(蓄電池は無し)を10年間で回収するには、いくらで購入すればよいか』ということを、我が家の10年間の「発電量」・「自家消費量」・「売電量」の実績値(kWh)をもとに、現在の電力料金単価(円)と売電単価(円)を踏まえて、シミュレーションします。
特に、我が家と「太陽光パネルの設置状況」が近いご家庭においては、あくまで目安ではありますが、よりリアルなシミュレーションとして参考にしていただければと思います。
「太陽光発電した電力を自家消費することにより、電力会社から買わなくてすむ金額」(※)と「売電収入」の2つの要素をもとに、シンプルに、太陽光発電による経済効果(電気代の節約効果)をシミュレーションします。
(※)電力料金は、「電力量料金単価」のほか、本来は電力会社から購入する電力量に応じて、燃料費の変動を調整するための「燃料費調整単価」が加算あるいは差し引かれます。また、電力会社から購入する電力量に応じて、「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」が加算されます。ここでのシミュレーションはシンプルにするため、(あえて単価が高い)「電力量料金単価」のみを対象とし、「燃料費調整単価」及び「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」は対象外としました。
今回の記事は、「蓄電池抜き」の話なので、今から新たに太陽光発電のみ設置(蓄電池は無し)することを検討されている方に読んでいただきたいだワン。
太陽光発電した電力の使い方
「太陽光で発電した電力」は、以下の順番(①→②)で使うことになります。
①家庭(家電製品など)の電力としてその場でリアルタイムに使う(自家消費)。
②余った電力は電力会社に「売電」する。
「①」は自分の家で作った電気を自分で使うので「自家消費」といいます。昨今の電気料金の値上げによって、電気代節約のために盛んに言われるようになったのが、この「自家消費」です。
<図解>太陽光発電だけ(蓄電池なし)の時の電力の利用イメージ
「発電量」と「自家消費量」と「売電量」の関係
〇「発電量 (kWh)」は、自分の家の太陽光パネルで発電した電力量です。
〇「自家消費量 (kWh)」は、自分の家で作った電気(太陽光発電)を自分の家で使った量です。
〇「売電量 (kWh)」は、自分の家で作った電気(太陽光発電)を電力会社に売った量です。
◎「発電量 (kWh)」=「自家消費量 (kWh)」+「売電量 (kWh)」という式になります。
(すなわち、「太陽光パネルで発電した電力」は、「自分の家で使う」か「電力会社に売る」かのどちらか、ということです。)
「経済効果」(電気代の節約効果)とは
【「発電量 (kWh)」=「自家消費量 (kWh)」+「売電量 (kWh)」】
これを金額に換算したものが「経済効果」(電気代の節約効果)となります
計算式で表すと、
「経済効果」(電気代の節約効果(円))=(「自家消費量 (kWh)」×「電力会社から買った場合の単価(円)」(※1)) + (「売電量 (kWh)」×「売電単価 (円)」(※2))
となります。
分かりやすく言うと、太陽光パネルを設置していることによって、それを設置していない時よりも削減できる電気代(ランニング費用)の金額のことです。
現在は(というか、おそらく今後も)、「売電単価」よりも「電力会社から買う電力単価」の方が高いため、太陽光発電で余った電力は「自家消費」(=買う電力を減らす)した方がおトクとなります。
(※1):電力会社から電気を買わなかったことによる節約金額
(※2):売電して得た収入
☆詳細は、以前の記事「太陽光発電と蓄電池の稼働状況を示す用語の意味とそれぞれの関係」をご覧ください。
我が家の太陽光発電の概要・パネルの設置状況等
我が家の太陽光発電の概要、パネルの設置状況、電気の使用状況は以下のとおりです。
〇太陽光パネル設置容量:6.3kW(パワーコンディショナー:5.5kW)…パネルとパワーコンディショナーの出力の小さい数字が太陽光発電システムとしての発電容量(最大発電能力)となりますので、我が家の場合は5.5kWです。
〇「多結晶」タイプのパネルですので、「単結晶」タイプよりも発電効率が数パーセント落ちると言われています。
〇屋根は南向き。屋根の角度は約25度です(※)。東京都です。
(※)以下の「一般社団法人 太陽光発電協会」のホームページによると、「東京」において、1年を通じて最も日射量が大きくなる条件は、「真南で約30度の傾斜角度」とのことです。「東京で30度の傾斜角度」の場合、真南の発電量を「100%」とすると、「南西」及び「南東」が「約96%」、「西」及び「東」が「約83%」の発電量となります。
〇我が家(ひとつ屋根の下の二世帯住宅)において、親世帯とそれぞれ独立した生活を送っていたこともあり、発電に占める自家消費の割合(いわゆる「自家消費率」)は、一般的な水準よりも高くなっています(太陽光パネルだけを設置した(蓄電池なし)ご家庭の自家消費率は、一般的には「30%」程度と言われています)。
〇今まで故障は一切なし。
我が家の10年間の実績と、設置費用の回収(期間・金額)シミュレーション
我が家の10年間の実績と、設置費用の回収(期間・金額)シミュレーションです。
シミュレーション方法
〇我が家の10年間の「発電量」・「自家消費量」・「売電量」の実績値(kWh)をもとに、現在の電力料金単価(円)と売電単価(円)を踏まえて、シミュレーションしました。
〇電気料金単価 30円/kWhとした場合(ケース1)と、電気料金単価40/kWhとした場合(ケース2)の2通りの計算をしました(後者のケースの方が、自家消費することによって電力会社から買わなくてすむ金額が大きくなるわけですから、経済効果(電気代の節約効果)が大きくなります)。
表の見方(データの活用方法)
<太陽光パネル設置にかかる費用回収シミュレーション表>
〇例えば、電気料金単価 30円/kWh(ケース1)の場合、10年間で175万2,400円回収できるということになりますので、太陽光発電の設置にかかる費用を10年間で回収するためには、175万円以内で太陽光発電を購入すればよいわけです。
〇電気料金単価 40円/kWh(ケース2)の場合は、10年間で211万8,400円回収できます。太陽光発電の設置にかかる費用を10年間で回収するためには、211万円以内で太陽光発電を購入すればよいわけです。
〇両ケースを比べれば分かるとおり、電力会社の電気料金が高くなるほど、当然ながら太陽光発電(自家消費)による回収金額(=電気代の節約金額)も大きくなり、費用回収期間も短くなるのです。また、上述のとおり、現在は(というか、おそらく今後も)「売電単価」よりも「電力会社から買う電力単価」の方が高いため、「消費電力」のうち自家消費の割合が大きいほど(=電力会社からの買電の割合を小さく抑えられるほど)回収金額も大きくなり、費用回収期間も短くなります(我が家のように一般的なご家庭より自家消費が多めのご家庭は費用回収期間も早めとなります)。
〇さらに、違った見方として、我が家と同様な設置状況と電気の使用状況において、太陽光パネルを150万円で設置したと仮定します。そうした場合、電気料金単価 30円/kWh(ケース1)の状況においては、「累計回収金額」欄を見て分かるとおり、9年経過した時点で回収(159万2,200円回収)できます。また、電気料金単価 40円/kWh(ケース2)の状況においては、7年経過した時点で回収(151万2,800円回収)できるということになります。
上記した内容をベースに、パネルの設置容量や屋根の方角や地域性(日照時間等)などを加味して、『どのくらいの金額で購入すれば、どのくらいの期間で費用回収できそうか』ということを予測してみてください。
地方自治体の補助金を活用すれば、回収期間を短くすることができますね。
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