少し話がそれますが、今日は蓄電池そのものではなく、10年以上使ってきた太陽光発電の使用状況実績の話です(蓄電池を設置していなかった時期の話)。
蓄電池の蓄電容量を検討する上で重要な判断材料となります。
今回のブログを読むと、太陽光発電量や売電量が蓄電池の「蓄電容量」を決める上での判断材料になるということが分かるワン。
太陽光発電の実績(10年間)
我が家の太陽光発電ですが、
・太陽光パネル設置容量:6.3kW(パワーコンディショナー5.5kW)を、2010年に設置しました。
・屋根は南向き。
・我が家において、太陽光発電の故障や屋根の雨漏りなどのトラブルは一切発生したことはありませんでした。
以下は、太陽光発電の年別の実績です。
以下の表の期間、我が家(ひとつ屋根の下の二世帯住宅)において、親世帯とそれぞれ独立した生活を送っていたこともあり、発電に占める自家消費の割合(いわゆる「自家消費率」)は、一般的な水準よりも高くなっています。
細かい数字だと見づらいので、十の位を四捨五入しています。
年別実績集計 | (単位:kWh) | ||
発電 | 売電 | 自家消費 | |
2011年 | 8,200 | 4,500 | 3,700 |
2012年 | 8,100 | 4,600 | 3,500 |
2013年 | 8,500 | 5,000 | 3,500 |
2014年 | 8,200 | 4,100 | 4,000 |
2015年 | 7,700 | 3,900 | 3,800 |
2016年 | 7,100 | 3,400 | 3,700 |
2017年 | 7,700 | 3,800 | 3,900 |
2018年 | 7,400 | 3,500 | 3,900 |
2019年 | 7,400 | 3,900 | 3,500 |
2020年 | 7,300 | 4,200 | 3,100 |
合計 | 77,600 | 40,900 | 36,600 |
太陽光発電による電気代の節約効果について
10年間で約77,600kWh発電しました。
発電=自家消費+売電 です。
「自家消費」とは、太陽光で発電した電気を自分の家で使うことです(※)。
(※)蓄電池を設置していなかった時期は、「自家消費」とは、すなわち「太陽光で発電した電気を自分の家でリアルタイムに使う。」ということだけを意味します。
「売電」とは、電力会社に余った電気を売ることです。
自家消費による経済効果
電力会社から購入する電力(「電力量料金単価」)を、1kWhあたり、便宜的に一律30円と仮定(※1)して
自家消費の経済効果(電力会社から電気を買わなかったことの効果)を計算すると(※2)
自家消費の経済効果:30円×約36,600kWh=1,098,000円(①)
(※1)本来は、「ナイト10」という電力プランを利用していて、昼と夜とで料金が違いますし、昼時間帯は使用量に総じて、1kWhあたりの購入価格が段階的に上がっていきますが、ここでは便宜的に一律30円(昼間の中間段階程度の料金)としました。
(※2)「電力量料金単価」のほか、本来は電力会社から購入する電力量に応じて、燃料費の変動を調整するための「燃料費調整単価」が加算あるいは差し引かれます。また、電力会社から購入する電力量に応じて、「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」が加算されます。ここでの計算は、シンプルにするため、一番単価が高い「電力量料金単価」のみを対象とし、「燃料費調整単価」及び「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」は対象外としました。
以下の画像は、東京電力エナジーパートナー株式会社(TEPCO)のインターネットサイトからの抜粋です。
売電収入
売電価格は、1kWhあたり、48円でした。
売電収入:48円×約40,900kWh=1,963,200円(②)
電気代の節約効果合計
電気代の節約効果合計は、自家消費による経済効果(①)と売電収入(②)を合計(①+②)し、3,061,200円となりました。
もともと太陽光発電の設置のために業者さんに支払った金額が340万円程度でしたが、国や東京都からの補助金もありましたので、上記の節約効果と補助金を合わせると、10年間の間に元を取ることはできました。
固定価格買取制度(FIT)のもと48円(注:太陽光発電の設置時期により価格は異なる)で買い取ってもらえるのは、10年間と決まっています。我が家は、2021年以降は、太陽光発電で余った電力の買取価格は8.5円となりました。「48円」から「8.5円」ですので、5分の1以下となってしまったわけです。
卒FIT後は、「売電」よりも「自家消費」です。電気代の節約にあたっては「売電」に期待できなくなったので、「自家消費による経済効果」を上げるために、蓄電池が有効となります。
蓄電池の蓄電容量はどのくらいが最適か
「最適な蓄電容量」の考え方
蓄電池の設置により、今まで「売電」した部分を「自家消費」に回したい(=蓄電池に貯めたい)わけですから、単純にこれまでの「売電」実績を見て、その売電量に合った「蓄電容量(実効容量)」の蓄電池を選択することにしました。
<図>蓄電池を設置する前の「発電」「電力消費」「売電」イメージ(最適な「蓄電容量」は?)
上の図の「売電」部分を、「売電」に代わって蓄電池に目一杯貯めることができれば、夜間などに蓄電池から放電した電力を利用することで電力会社からの購入電力(上の図の赤線部分)を最大限に削減することができます。
今まで売電していた電力量を貯められるだけの蓄電容量(実効容量)がある蓄電池が欲しいわ。
「最適な蓄電容量」の計算
我が家の場合、10年間で「売電」が約40,900kWhでしたので、
1日平均「売電」量:40,900kWh÷約3,650日(10年間)=11.2kWh
が実績となります。
「売電分をすべて蓄電池に貯めたい。」という考えに基づくと、上記の計算結果から、蓄電容量(実効容量)が「11kWh」くらいの蓄電池が妥当なのではないかと判断しました(非常にざっくりとした考え方ですが・・・)。
1日平均「売電」量の「11.2Wh」は、春夏秋冬、また、天気の良い日、悪い日、すべて含めた単純平均の実績なので、もちろん仮に毎日天気がよければ、本来もっと大きな蓄電容量(実効容量)が望ましいといえます。「まあだいたいこのくらいかな」といった程度の検討結果です。
結局我が家は、上記の計算結果よりも少しだけ大きい蓄電容量「12.8kWh」(実効容量「11.9kWh」)の蓄電池を設置しました。
月別の太陽光発電実績(余談)
さらに話がそれますが、参考として、2011年から2020円までの10年間の月別の発電実績を載せます。
(①10年間の当月平均発電量、②10年間のうち当月の最少発電量の年の発電量、③10年間のうち当月の最多発電量の年の発電量)
下の表を見て分かるとおり、月によっても「発電量」がだいぶ違っています。そうなると、当然「余剰電力」(※)の量なども変わってきますね。
(※)「余剰電力」:太陽光発電で得られた電力量から家庭内で使用した電力量を差し引いて残った電力の量
月別発電実績集計 (2011年~2020年の10年間) | (単位:kWh) | ||
①月平均 | ②最少 | ③最多 | |
1月 | 620 | 466 | 751 |
2月 | 637 | 531 | 732 |
3月 | 730 | 657 | 806 |
4月 | 770 | 658 | 845 |
5月 | 816 | 680 | 925 |
6月 | 635 | 590 | 685 |
7月 | 676 | 399 | 772 |
8月 | 727 | 544 | 893 |
9月 | 588 | 447 | 720 |
10月 | 549 | 415 | 684 |
11月 | 518 | 435 | 613 |
12月 | 498 | 400 | 571 |
全月 | 647 | 399 | 925 |
同じ月でも年によって天候が良かったり悪かったりしますが、10年間をならしてみると・・・
・5月が一番発電していました。
・次に4月。次に3月の順です。
・太陽光発電量ベスト5(日別)を見ると、すべて3月から5月の日です。晴れは晴れでも3月から5月の晴れた日が一番発電するようです(以下のリモコン画面写真ご参照)。
・これは日照時間だけでなく、気温も関係しているようです。暑すぎると発電量が落ちるため、あまり気温が高くない春の発電量が多くなるようです。
一方で、発電が一番少ないのは・・・
・12月でした。次に11月。次に10月でした。
・12月は太陽の位置が低く、我が家の場合、太陽光パネルが家の前にある木の陰になってしまうということがあるかもしれません。
~まとめ~
〇卒FIT後は、蓄電池の設置により、今まで「売電」した部分を「自家消費」に回す(=蓄電池に貯める)ことで電気代の節約となる。
〇太陽光発電のこれまでの実績データを見ると、売電量などのデータから、最適な蓄電池の蓄電容量を判断することができる。
〇ただし、その時々の天気の良し悪し、季節(月)によっても「発電量」や「余剰電力」は変わってくるものである。
次回は、太陽光発電と蓄電池の稼働状況を示す用語(発電、売電、充電・・・など)の意味とそれぞれの関係、について書きたいと思います。