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蓄電池の運転モードと各種設定

蓄電池の導入まで
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今日は、「蓄電池の運転モード」と「各種設定」について書きたいと思います。せっかく蓄電池を設置したのに、これらの設定が適切にできていないと、思ったように電気代が節約できなかったり、いざ停電となった時に蓄電量が足りなかったり…というようなことになってしまいかねないので、しっかり理解することが重要です。

蓄電池の役割は、

『「充電」して電気を貯めて、「放電」して使う。』

です。

以前のブログ「太陽光発電と蓄電池の稼働状況を示す用語の意味とそれぞれの関係」で書きましたが、まずは、「充電」と「放電」について復習したいと思います。

今回のブログを読むと、蓄電池の運転モードと各種設定の詳細が分かるワン。

「充電」、「放電」とは

充電とは

運転モードの説明に入る前に、まず蓄電池への「充電」方法について知る必要があります。

「充電」とは、蓄電池に電力を貯める(蓄電する)ことです。

充電には、

  • 太陽光発電による蓄電池への充電(余剰電力がある時(日中)の充電)
  • 電力会社からの買電による蓄電池への充電(余剰電力がない時(夜間など)の充電)

の2種類の方法があります。

2つとも「充電」であることには変わりませんが、運転モードを決める時には、両者の違いをしっかり区別することが大切です。

「太陽光発電による蓄電池への充電」の場合は、太陽光で発電して余った電力を蓄電池に貯めて自分の家で使用することになります(=自家消費)。電力会社から電力を購入しないので、お金をかけずに充電できる、ということです。

「電力会社からの買電による蓄電池への充電」の場合は、当然、蓄電池に電力を貯める分だけ電力会社にお金を払わなくてはなりません。ただし、「時間帯別電灯」の電気料金プランに入っていれば、夜間の単価が安い電力を蓄電池に貯め、昼間の単価が高い時間帯に放電して電気を使うことで、電気代を節約することができます。

放電とは

「放電」とは、蓄電池に貯めた電力を蓄電池から放出して使う(消費する)ことです。一度蓄電池に貯めた電力は、太陽光発電で充電したものであろうと、買電で充電したものであろうと変わりはないので、放電に種類はありません。

運転モードの種類(「グリーンモード」と「売電モード」)

これらを踏まえて蓄電池の運転モードについて説明します。主要なモードとして、「グリーンモード」「売電モード」があります。

メーカーにかかわらず、同様なモードが存在します。メーカーによって呼び方が「グリーンモード」ではなく「スマートモード」だったり、「売電モード」ではなく「経済モード」だったり・・・。呼び方は統一されているわけではありません。

各メーカーとも各モードの内容は似たようなものですが、一部の機能や動作については、それがあったりなかったり、違いがあったりします。ここでは、我が家の住友電工の蓄電池を例として記載することにします(以下は、蓄電池の設置時にもらった取扱説明書の記載を参照して記載しました)。

2つの運転モードの違い

「グリーンモード」「売電モード」の一番大きな違いを一言で言うと、余剰電力について、「蓄電池への充電」を優先するか、「売電」を優先するかの違いです。

もう少し具体的に言うと、以下のとおりです。

日中の太陽光発電している時の動作の違い

「グリーンモード」は、余剰電力はまずは蓄電池に「充電」して、蓄電容量上限まで充電した後は「売電」となります。

「売電モード」は、余剰電力はすべて(売電には上限はないので)「売電」します。

夜間の動作の違い

「グリーンモード」は、夜間に電力会社からの買電による蓄電池への充電を「する」設定も「しない」設定もどちらもできます(製品によっては買電により貯められる蓄電量に上限があるような場合もあります)。「気象連動 AI による⾃動設定」機能で、夜間の充電を自動的にコントロールすることもできます。

「売電モード」は、夜間に電力会社からの買電により蓄電容量の上限まで充電します(貯めた電力を主に太陽光発電していない朝や夕方に使うことになります)。

どちらの運転モードを選択すべきか(「グリーンモード 」or 「売電モード」)

電気代の節約の観点で言うと、卒FIT(固定価格買取期間を終了)の場合や、FIT期間中(固定価格買取期間中)であっても「売電単価<買電単価」(※1)の場合は、グリーンモードの方が電気代の節約効果が大きくなります。

(※1)最近の電気料金の高騰(特に夜間時間帯の料金)により、「売電単価<買電単価」という状況になっているケースも多いと思われます。

我が家は卒FITしていますので「グリーンモード」です。そして、グリーンモードの中でも「気象連動AI機能」という機能を設定しました。詳細を以下の表にまとめました。

いろいろな運転モードや設定があるので、ちゃんと理解しないとね。

(以下の表は、「住友電工 リチウムイオン蓄電システム POWER DEPO®H」の取扱説明書の記載を参考にして書いています。)

【運転モードの内容と適している状況】

 内容適している状況
グリーンモード・太陽光発電の余剰電⼒をまずは蓄電池に充電する。

・蓄電容量上限まで充電した後は売電する。

・発電が不⾜する時に蓄電池から放電する。

・電気料⾦が割安な時間帯(夜間)に電⼒会社から購⼊した電⼒で蓄電池の充電を行う「充電タイマー」機能と併⽤できる。

・「充電タイマー」で貯める電⼒量は、ユーザーによる「固定値設置」(②)と「気象連動 AI による⾃動設定」(③)のどちらかを選択する。  
発電した電力をできるだけ自家消費したい場合 (卒FITの場合など)

具体的には、

・電気代の節約の観点で、「売電単価<買電単価」の場合

・エコ観点で、太陽光発電で家の電気をまかない、電力会社からの電力購入量を減らしたい場合
設定①:「充電タイマー」を無効とする。・夜間充電は行われない。
設定②:「充電タイマー」を有効として、夜間充電を固定値設定とする。・夜間充電する蓄電残量を0%~100%の範囲で指定して、日々常に固定の蓄電残量まで充電する。
設定③:「充電タイマー」を有効として、夜間充電を「気象連動 AI」(※2)による自動設定とする。・天気予報、過去の発電と消費電⼒の実績に基づいて、日々AIが適切な蓄電残量を自動で判断し、その蓄電残量まで夜間充電する。
売電モード・太陽光発電の余剰電⼒をすべて売電する。

・充電は電気料⾦が割安な時間帯(夜間)に買電により行う。

・蓄電残量100%まで充電する。

・電気料⾦が割⾼な時間帯(夜間以外)に放電することで、電気料⾦の節約が可能になる。  
発電した電力をできるだけ売電に回したい場合
(FIT期間中で売電単価が高い場合など)

具体的には、

・電気代の節約の観点で、「売電単価>買電単価」の場合

(※2)「気象連動 AI」機能とは・・・

「蓄電池の設置場所の天気予報と、過去の発電実績、過去の消費電⼒の実績に基づき、毎⽇最適な蓄電量をAIが予測し、充電タイマー時間帯の充電上限(夜間の充電電⼒量)を⾃動で設定する」機能です。

以下は、住友電工のホームページのリンク(「取扱説明書」)です。また、画像は、蓄電池の取扱説明書から抜粋した画像に色で囲みや線を付けたものです。

施工店様・販売店様(POWER DEPO® H ご利用書類) | 住友電工
住友電工の施工店様・販売店様(POWER DEPOR H ご利用書類)をご紹介しています。

グリーンモード(夜間充電あり

グリーンモード(気象連動AI機能)

売電モード

以下の写真は、実際の室内モニターの設定画面です。

「気象連動 AI」機能では、エリアを選択します。以下の写真にある「東京地方」は一番細かい設定となり、区市町村レベルのエリア設定はありません。

緊急充電モード

上記運転モードのどちらかを選択した上で、追加で以下のモードを設定できます。

緊急充電モード」です。

 内容対象の「警報」
緊急充電モード・⾮常時の停電に備えて蓄電池に電⼒を貯めることを⽬的とするモード

・緊急充電モードを「⾃動」に設定した場合、設置エリアに右記の気象「警報」が発令されると⾃動で緊急充電を開始する。

・緊急充電モードを開始した場合、蓄電残量 100%まで充電し、その状態を維持

・緊急充電モード開始後 24 時間経過で解除し、 設定前のモードに戻る。
●「特別警報」
⼤⾬特別警報、⼤雪特別警報、暴⾵特別警報、暴⾵雪特別警報

●「警報」  
⼤⾬警報、洪⽔警報、⼤雪警報、暴⾵警報、暴⾵雪警報

我が家は

緊急充電モード:自動

で設定しました。

今年(2023年)8月、9月の台風シーズンにすでに3回発動しました。自然災害によって停電が起きた場合に、蓄電池の電力を使い切ってしまっていた、というようなことになると困りますので、この「停電に備えて事前に自動で蓄電池を100%満タンにしておいてくれる」機能は、非常時対策として助かります。

「24時間100%の蓄電容量を保つ」という仕組みになっていますが、警報が解除されて「もう大丈夫だろう。」と判断した場合は、手動で緊急充電モードを解除して、通常の運転にする(放電を再開する)ことができます。24時間放電なしで買電を続けているということは電気代がどんどん増えていくということになりますので、電気代の節約を考えるのであれば、停電の心配がなくなったと判断したら、24時間待たずして、手動で緊急充電モードを解除するのがいいと思いました。

以下の写真は、実際の室内モニターの設定画面です。

以下の写真は、実際に緊急充電モードが発動した時の室内モニターの表示画面です。

その他の設定

加えて以下の設定を行います。

充電タイマー、放電タイマー

 内容備考
充電タイマー設定・買電による充電開始/停⽌時刻を設定 
放電タイマー設定・蓄電池からの放電開始/停⽌時刻を設定・グリーンモード時は設定不可

我が家は、

充電タイマー設定2時~8時(※1) → その後「3時~8時」に変更しました。

放電タイマー設定:設定不可(グリーンモードのため)

で設定しました

(※1)夜間の買電による充電時間の設定です。我が家の場合、時間帯別電灯の電力料金プランであり、夜間(22時~8時)の電力料金が安いので、はじめはその時間帯の中から「2:00~8:00」の設定としました。

以下の写真は、実際の室内モニターの設定画面です。

放電「下限」、充電「上限」

 内容備考
放電「下限」設定・放電を停止する蓄電残量を0%~50%の範囲で設定 
充電「上限」設定・買電による充電の上限値を0%~100%の範囲で設定「気象連動 AI」機能の有効時は、AI判断で自動設定

我が家は、

放電「下限」設定:10%(※2)

充電「上限」設定:最初50% → その後100%に変更しました。(※3)

で設定しました

(※2)我が家では、「蓄電池の電力をできるだけ使って電気代を節約したい」、かつ、「急な停電時に使える電力を最低限残しておきたい」という理由から、放電「下限」は0%とはせず、10%としました。実効容量11.9kWhの10%ですので、1.2kWhくらいは停電時のために常に残っている状態ということになります。

(※3) 我が家は「気象連動 AI」機能を有効にしたので、AIが夜間充電量を自動判断し実質的にこの充電「上限」の値は意味を持たないことになります。通信異常で天気予報が取得できないなど、AIによる⾃動設定ができない場合は、この⼿動で設定した値が充電上限となります。はじめは50%としていましたが、100%以外の値に設定する理由もないと思い、その後100%に変更しました。

以下の写真は、実際の室内モニターの設定画面です。

設定全般に関する感想

あって良かった「気象連動 AI」機能

・グリーンモードにおける夜間充電量を自動で調節してくれる「気象連動 AI」機能は大変便利でした。翌日の天気予報によって夜間の充電量を調節していくことが電気代の節約につながりますが、それを日々我が家自身が自ら確認し、自ら手動で設定するのは面倒なことですので、この「気象連動 AI」モードがあると本当に助かります。

「気象連動 AI」機能があると、何も考えなくていいし、何もしなくていいので、面倒くさがり屋の自分にはピッタリの機能だね。

仮にこの機能がなければ我が家自身で翌日の天気予報を確認して

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・予報が良ければ、『「グリーンモード」の「充電タイマー」を「無効」にする』(=夜間充電されない)

・予報が良くなければ『「グリーンモード」の「充電タイマー」を「有効」かつ「固定値(100%までの適切な値)」にする』(=夜間充電される)

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という作業を我が家自身で行えば、夜間の充電量をある程度コントロールできることになりますが、少なくとも(あまりマメでない)我が家においては、長続きしなそうです。

「充電タイマー」における充電開始/停⽌時刻は何時に設定するのが最適なのか?

・我が家の場合、時間帯別電灯の電力料金プランであり、夜間(22時~8時)の電力料金が安いので、その時間帯のどこかを設定することが大前提であることは分かりますが、では、「充電タイマー」の【充電開始/停⽌時刻】を具体的に「何時から何時に設定すればよいか」ということの正解がまだ分かりません。以下のような点を知ることができたらありがたいと思いました。

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・仮に6時間設定するとしたら、「2:00~8:00」と設定するのがよいのか、「1:00~7:00」と設定するのがよいのか?8時までは安い夜間の電気料金なので、やはり「2:00~8:00」がいいのだろうか?

・そもそも何時間くらいの時間を設定するのがいいのか?(フル充電に必要な時間は最低どれくらいなのか?)

・我が家では、とりあえずはじめは「2:00~8:00」の6時間を充電時間としましたが、5時間程度で十分ということであれば、「2:00~8:00」ではなく「3:00~8:00」とした方が、充電開始前の放電できる時間が長くなり、蓄電池に貯めた電力を無駄なく放電できるのではないかと思いました。

(実際に日中に蓄電池に充電した電力が深夜の2時まで使い切らずにすんだ日があったので、その時に深夜の2時前後の蓄電池の動きをモニターでウオッチしてみたところ、2時を境に「放電」から「充電」に変わりました。充電開始時刻を「2時」ではなく「3時」としていれば、2時以降も放電することができていたのではないかと推測しました。)

・特に「気象連動 AI」機能における動きがブラックボックスで分かりませんが、そもそもAI機能が「蓄電池の設置場所の天気予報と、過去の発電実績、過去の消費電⼒の実績に基づき・・・」ということですので、決まった動きというものはなく、動きがよく分からないというのは、当たり前のことかもしれません。

・今後もし、より最適な設定が分かったら、設定変更してみようと思っています。

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~まとめ~

〇主要なモードとして、「グリーンモード」と「売電モード」がある。卒FIT(固定価格買取期間を終了)の場合や、FIT期間中(固定価格買取期間中)であっても「売電単価<買電単価」の場合は、グリーンモードの方が電気代の節約効果が大きくなる。

〇放電「下限」設定は、「蓄電池の電力をできるだけ使って電気代を節約したい」、かつ、「急な停電時に使える電力を最低限残しておきたい」という両方の理由を踏まえて設定値を決めた(10%とした)。買電による充電開始/停⽌時刻の設定は、時間帯別電灯の電力料金プランで夜間(22時~8時)の電力料金が安い時間帯で6時間(2時~8時)の時間を設定した(ただし「2時~8時」の設定が最適かどうかはいまだ分からない。その後「3時~8時」に変更した)。

〇グリーンモードにおける夜間充電量を自動で調節する「気象連動 AI」機能は、天気予報などに基づいて自動で適切な判断をしてくれるため、日々いちいち手動で設定変更することなく効率的な充電(電気代の節約)を実現してくれ、大変ありがたい機能である。

次回は、蓄電池導入までの総まとめとして、「蓄電池設置後の感想」について書きたいと思います。

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