蓄電池の購入に利用できる補助金には、
・国の補助金
・都道府県の補助金
・区市町村の補助金
があります。
蓄電池は高価な買い物となるので、できるだけ補助金を活用できれば助かります。
我が家が蓄電池を買おうと決心したのは、住んでいる東京都の補助金が大きく増額されたのがきっかけでした。
補助金の内容は、毎年変わっていくものですので、今後も役立つか分かりませんが、我が家が活用した補助金の話を中心に現時点(2023年9月23日時点)の補助金について書きたいと思います。
ここに書くことは、各補助金事業を運営している担当各省庁や地方自治体(又はそれらが指定した組織)のホームページにて確認した内容です。
補助金をもらえる詳細な条件や補助金予算の消化状況などは、蓄電池の販売業者さんなどを通じて各補助金事業の運営者に確認してもらうのが確実です。
今回のブログを読むと、蓄電池の補助金の種類や金額、そして注意点が分かるワン。
国の補助金の種類
国の補助金として、以下の3種類があります(併用は不可)。
①こどもエコすまい支援事業の補助金
事業名称:こどもエコすまい支援事業
②DR補助金
事業名称:令和4年度補正 再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業費補助金(電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR対応蓄電池))
③DER補助金
事業名称:令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業 (分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業)
それぞれの補助金の補助金額、補助率、上限額などは以下の表のとおりです。
国の補助金の種類と内容(2023年9月23日時点)
補助金種類 | 補助金額・補助率 | 上限額 | 期限 | |
① | こどもエコすまい支援事業の補助金 | 6.4万円(一律) | - | 2023年12月31日 (予算上限に達したらその時点で終了) |
② | DR補助金 | 設備費・工事費の 3分の1の額 (消費税部分は対象外) | 実効容量1kWh あたり3.2万円 (かつ60万円) | 2023年12月22日 12時 (予算上限に達したらその時点で終了) |
③ | DER補助金 | 設備費・工事費の 3分の1の額 (消費税部分は対象外) | 実効容量1kWh あたり2.7万円 | 2023年12月22日 12時 (予算上限に達したらその時点で終了) |
補助金種類 | 遠隔操作で充放電するためのHEMS機能 | HEMS に対する補助金 | 備考 | |
① | こどもエコすまい支援事業の補助金 | 不要 | - | 補助金名称に「こども」とあるが、子供がいる家庭という条件はない。家族構成の条件は一切ない。 |
② | DR補助金 | 必要 | なし | 電力の需給ひっ迫の警報・注意報が発令された際に、遠隔操作にて充放電されることがある。 |
③ | DER補助金 | 必要 | 5万円 | 実証実験として、遠隔操作にて充放電されることがある。 |
※概要は上記のとおりですが、他にももう少し細かい条件があります。例えば、販売業者さんや蓄電池製品によっても、補助金の対象になるか否かが変わってきます。
※「HEMS」とは、「ホーム・エネルギー・マネージメント・システム」の略で、家庭内で使用している電気機器の使用量、稼働状況などをモニター画面で見えるようにして、家庭内のエネルギーを管理・コントロールする機器のことです。
補助金額のシミュレーション(例)
仮に、
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・蓄電池設置にかかった費用が全部で180万円(消費税を含めると198万円)
・蓄電池の実効容量(12kWh)、定格出力(6kW)
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とすると、
DR補助金の場合も、DER補助金の場合もともに、180万円に補助率の「3分の1」を乗じると60万円ですが、1kWh あたりの補助金額に実効容量を乗じた金額の上限がありますので、
・DR補助金は、3.2万円×12kWh=38.4万円
・DER補助金は、2.7万円×12kWh=32.4万円(これとは別にHEMSに対する補助金5万円の申請が可能)
が実際受領できる補助金額となります(※1)。
(※1)DR補助金もDER補助金もHEMS機能を有していることが補助金の条件となります。蓄電池にHEMS機能が付いていない製品であれば、蓄電池とは別にHEMSを設置する必要があります。販売業者さんに聞いたところ、HEMSの設置費は20万円くらいだそうです。DER補助金はHEMSに対する補助金も5万円出ますが、DR補助金では出ません。HEMS設置費用が、受領できる補助金を上回ってしまうと、逆に出費が増えてしまうことになります(蓄電池の実効容量が小さい場合にそのような状況になってしまいます。実効容量が大きければ、DR補助金もDER補助金もHEMS設置費用をまかなえるメリットを受けられます)。もともとHEMSを導入したいと思っているご家庭であれば、DR補助金やDER補助金を利用することにより、多少出費が追加になる場合でも、「安くHEMSを設置できた。」ということになるので、お得と言えるのではないでしょうか。
蓄電池の販売業者のホームページで蓄電池の相場について書かれている内容を見ると、この例のように、蓄電容量12kWhの蓄電池であれば、現在(2023年9月)は設置費用の相場は少なくとも150万円以上はするようですので、「設置費用に補助率の「3分の1」を乗じた金額」は「1kWh あたりの補助金額に実効容量を乗じた金額」(上限額)を上回るものと思われます。ですので、実際は「1kWh あたりの補助金額に実効容量を乗じた金額」(上限額)が補助金額になると考えられます。
注意点として、DR補助金やDER補助金は、「蓄電システム購入価格と工事費の合計が、目標価格以下であること。」という条件がありますので、販売業者さんにしっかり確認する必要があります(後述の文書中に公募要領へのリンクを貼りました)。
次に、各補助金の目的や、各補助金事業を運営している担当各省庁や地方自治体(又はそれらが指定した組織)のホームページの情報(サイトのURLや補助金内容の説明画面など)を整理してお伝えします。
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こどもエコすまい支援事業の補助金(国)
「こどもエコすまい支援事業」とは、子育て世帯・若者夫婦世帯を中心に、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより省エネ投資の下支えを行い、2050年のカーボンニュートラルの実現を図る事業です。
「子育て世帯・若者夫婦世帯を中心」ということではありますが、蓄電池の補助金に関しては、幸いにも「子育て世帯・若者夫婦世帯」という条件はありません。
「こどもエコすまい支援事業」のホームページの中の蓄電池の補助金に関するサイトは以下のとおりです。
以下は、「こどもエコすまい支援事業」のサイトから抜粋した画像です。
蓄電池の設置に対し、64,000円の補助金が出ます。
(期限は、2023年12月31日(予算上限に達したらその時点で終了)とのことですが、「こどもエコすまい支援事業」のホームページを確認したところ、予算に対する補助金申請額の割合は、2023年9月23日 午前0時時点で「98%」となっていました。)
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DR補助金(国)
事業名称:令和4年度補正 再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業費補助金(電力需給ひっ迫等に活用可能な家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR対応蓄電池))
以下の公募要領によれば、電力需給ひっ迫時にディマンドリスポンス(「DR」)に活用可能な電力を確保するために、それが可能な蓄電池の設置を促進することを目的としています。DRとは、電力使用量を制御することで電力の需要と供給のバランスをとることです。電気を安定して供給するためには、電気の供給と電気の需要が同じ時に同じ量になっている必要があるためです。
(以下の経済産業省資源エネルギー庁のホームページを参照しました。)
「一般社団法人 環境共創イニシアチブ(略称:SII)」のホームページの中のDR補助金に関するサイト(公募要領2.1版 2023年6月30日版)は以下のとおりです。
https://sii.or.jp/DRchikudenchi04r/uploads/R4r_dr_ess_kouboyouryou.pdf
公募要領がアップデートされると、上記のPDF資料へのリンクが今後切れてしまう可能性があるので、その大元のページのリンクも貼っておきます(↓)。補助金の対象となる蓄電池製品の一覧も以下のサイトにて更新されています。
以下は、「一般社団法人 環境共創イニシアチブ(略称:SII)」のサイト(公募要領2.1版 2023年6月30日版)から抜粋した画像です。
上の表における「TPOモデル」というのは、「第三者保有モデル」という形態のようですので、個人で蓄電池を購入する場合は「TPOモデル」以外の金額が採用されるようです。
また、「TPOモデル」以外の「3.2万円/kWh」と「3.7万円/kWh」の違いは、蓄電池のメーカーさんや販売業者さん側の話ですので、個人で蓄電池を購入する場合は「3.2万円/kWh」という前提で考えるのが一般的なようです(蓄電池の販売業者さんのホームページを見ると、そういう前提で書かれているものが多いです)。
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DER補助金(国)
事業名称:令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業 (分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業)
以下の公募要領によれば、「分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業」に関する補助金です。この事業は、蓄電池等の分散型エネルギーリソース(「DER」)という技術で、電力需給ひっ迫対応、再エネ導入拡大、電力安定供給の実現を目指し、DER制御技術の実証を行うものです。
「一般社団法人 環境共創イニシアチブ(略称:SII)」のホームページの中のDER補助金に関するサイト(公募要領2.0版 2023年7月11日版)は以下のとおりです。
https://sii.or.jp/DERaggregation05/uploads/R5DER_kouboyouryou.pdf
(2023.10.9追記→)上のリンクの公募要領は、2023年10月9日現在、「公募要領3.0版 2023年10月4日版」に更新されていました。確認したところ、補助率や補助上限額の変更はありませんでした。
公募要領がアップデートされると、上記のPDF資料へのリンクが今後切れてしまう可能性があるので、その大元のページのリンクを張っておきます(↓)。補助金の対象となる蓄電池製品の一覧も以下のサイトにて更新されています。
以下は、「一般社団法人 環境共創イニシアチブ(略称:SII)」のサイト(公募要領2.0版 2023年7月11日版)から抜粋した画像です。
DR補助金のところでもお伝えしましたが、上の表における「TPOモデル」というのは、「第三者保有モデル」という形態のようですので、個人で蓄電池を購入する場合は「TPOモデル」以外の金額が採用されるようです。
また、「TPOモデル」以外の「2.7万円/kWh」と「3.2万円/kWh」の違いは、蓄電池のメーカーさんや販売業者さん側の話ですので、個人で蓄電池を購入する場合は「2.7万円/kWh」という前提で考えるのが一般的なようです(蓄電池の販売業者さんのホームページを見ると、そういう前提で書かれているものが多いです)。
表にある「EMS」 は「HEMS」と考えてください。DER補助金(DR補助金も)の条件を満たすには、HEMS機能を有していること条件になりますが、DER補助金については、HEMS設置に対する補助金も出ます(5万円)(DR補助金ではHEMS設置に対する補助金はありません)。
我が家が利用した国の補助金
我が家は、DRやDERの公募要領が出る前に販売業者さんとの契約を進めていましたので、(必然的に)すでにその時から始まっていた「こどもエコすまい支援事業の補助金」(64,000円の補助金)を利用することになりました。
(2023.9.29追記→)2023年7月上旬に申請し、2023年9月下旬に業者さんを経由して振り込まれましたので、申請してから3か月経たずに補助金を受領することができました。
(我が家の蓄電池の実効容量は11.9kWhと大きめですので、HEMSを設置して費用が追加で20万円かかったとしても、本来はDR補助金やDER補助金を利用した方がお得でした。ただ、早く蓄電池を設置したかったこともあり、DRやDERの開始を待たずして、進めていきました。)
都道府県の補助金 ~東京都の補助金~
都道府県として蓄電池に対する補助金制度を実施している都道府県も一部あるようです。一番代表的なのが「東京都」です。
ということで、我が家のある東京都の補助金について書きます。
補助金の補助率は、かかった費用のなんと「4分の3」です。とても高額の補助金です。
製品本体の費用だけではなく工事費を含めた費用の「4分の3」です。
東京都民で蓄電池を購入しようと思っている方には、とてもいい話です。
補助金額がとても大きいわ。東京都民のご家庭は、蓄電池を設置する絶好のチャンスね。
↓【太陽光発電システムが4kW以上、蓄電池の蓄電容量(SII登録)が6.34kWh以上の場合】↓
補助金 | 補助率 | 上限 | |
東京都補助金 | 設備費・工事費の 4分の3 (消費税部分は対象外) | 以下のうち小さい額 | |
蓄電池の蓄電容量(SII登録値) 1kWh あたり15万円 | 太陽光発電の発電出力 1kW あたり30万円 |
※「蓄電容量」は、「一般社団法人 環境共創イニシアチブ(略称:SII)」が認定した蓄電容量です。以下のSIIのホームページのサイトで確認できます。
※「太陽光発電の発電出力」は、例えば、我が家の太陽光発電の場合は「太陽光パネル設置容量:6.3kW、パワーコンディショナー:5.5kW」ですが、この場合、小さい方の値(5.5kW)が「太陽光発電の発電出力」となります。
上の表は、代表例として【太陽光発電システムが4kW以上、蓄電池の蓄電容量(SII登録)が6.34kWh以上の場合】を載せましたが、それ以外の場合は、以下のとおりです(「クール・ネット東京」のサイトから抜粋した画像)。
「クール・ネット東京」のホームページの中の東京都補助金に関するサイトは以下のとおりです。
仮に、
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・蓄電池設置にかかった費用が全部で180万円(消費税を含めると198万円)
・蓄電池の蓄電容量(SII登録値) :10kWh
・太陽光発電出力:5kW
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とすると、
180万円×「4分の3」=135万円の補助金を受領できます。
(「上限」を計算すると、蓄電容量で計算した上限は10kWh×15万円=150万円、太陽光発電出力で計算した上限は5kW×30万円=150万円で、いずれも「全体の費用(180万円)に4分の3を乗じた金額(=135万円)」よりも大きいので、上限には影響されず、135万円が補助金額となります。)
区市町村の補助金
区市町村の補助金も活用できます。東京都のいくつかの区市町村のホームページをサンプル的に見てみましたが、そもそも補助金が無い区市町村もあれば、上限40万円というリッチな区市町村もありました。
こちらも、国と都道府県の補助金と併せて活用したいところです。是非、お住いの区市町村のホームページを見てみてください。
補助金を利用する際の注意点
・補助金には、「対象の蓄電池製品」、「対象の販売業者」などの細かい条件もあるので、条件を満たした製品や販売業者さんを選ぶ必要があります。「どの製品であれば、どの補助金を利用でき、どれだけの補助金額となるか。申請開始はいつ頃か。」ということを販売業者に契約前に確認しておいた方が確実です。
・補助金の内容は、年によって変わっていくものなので、その時点の補助金内容をしっかり把握する必要があります。補助金の内容を確認し、申請開始時期を調べ、そこから逆算して、蓄電池の製品検討や販売業者さんへのコンタクトなど、蓄電池設置までの計画(スケジュール)を立てることができれば、補助金の申請が間に合わなかった、というようなことにならないですみます。
・補助金は、予算上限に達したらその時点で終了となるので、早めの準備が必要です。国の補助金情報であれば「一般社団法人 環境共創イニシアチブ(略称:SII)」のホームページを、都道府県や区市町村の補助金であればその自治体のホームページをたまに見たりすると補助金情報がアップデートされたことに、早めに気付けると思います。インターネットで「蓄電池 補助金」というキーワードで検索して出てきたサイトをみても、アップデートされた補助金情報を見付けることができるかもしれません。
・補助金の申請手続きの際には、蓄電池や太陽光発電に関するいろいろな情報を書類に書く必要があるので、すべて自分で記載するのは難しいと思います。補助金の申請手続きも販売業者さんの方で対応してくれるか、契約前に販売業者さんに確認しておくことも大事だと思います。
・補助金は、設置工事まですべて終わった後、実績報告などをして、しばらく経ってからはじめてもらうことができます。ですので、分割払いにしない限りは、販売業者さんへの設置費用の支払い(全額)は、補助金受領よりも先に行うことになります。
~まとめ~
〇補助金には、「国の補助金」、「(一部の)都道府県の補助金」、「(一部の)区市町村の補助金」がある。これら3つの補助金は基本的に併用可能であるため、できるだけ活用したい。国の補助金は数種類あるので、どの補助金が自分の家に適しているか(どの補助金にすれば受領金額が多くなるかなど)を確認することも大事。
〇「国の補助金」、「都道府県の補助金」、「区市町村の補助金」の各補助金について、それぞれの申請開始時期や実績報告締め切り時期などを事前にしっかりと把握した上で、「すべての補助金を利用できるタイミングで蓄電池設置までのスケジュールを立てる」ということが補助金を最大限に受けるためのポイント。
〇補助金の内容は年によって変わっていくし、予算上限に達したらその時点で終了となるので、早めに準備をしたり、補助金の申請開始時期などを踏まえたスケジュールを立てたりすることが重要である。
〇東京都の補助金は、補助率はかかった費用のなんと「4分の3」と高額であるので、東京都民で蓄電池を考えている人は、検討するいい機会と思われる。
次回は、蓄電池の「販売業者さん選び」について書きたいと思います。