前回のブログでお伝えした「再エネおあずかりプラン」の仕組みを、実際の我が家の「ご利用明細」(東京電力発行)をもとに見ていただくと、少し理解がしやすいと思います。
まず、前回のブログの復習をしますと、
「再エネおあずかりプラン」とは、
「月4,000円東京電力に追加で払うと、太陽光発電の余剰電力を、東京電力に8.5円で売電するのではなく、あたかも実際に蓄電池があってその電力を放電して使用しているかのように、東京電力から購入(買電)した電力に対して単価が高い電力量料金単価部分から順番に余剰電力(本来売電となる部分)を充てて(上限250kWh)、買電量を少なくしてくれる」プランです。
今回は、我が家の2022年5月の例でご説明します。
(当時は、電力量料金単価が現在(2023年9月)よりも安かったです。ですので、現在の単価で計算すると、それ以外の前提(買電量等)を同じとした場合に、このプランによるメリット(電気代の節約効果)は、現在の方が2022年5月当時よりも大きくなります。)
今回のブログを読むと、実際の「ご利用明細」と照らし合わせて、容易に「再エネおあずかりプラン」を理解することができるワン。
実際の「ご利用明細」と記載内容の説明
以下が「ご利用明細」(2022年5月分)に説明を加えたものです。
「ご利用明細」のそれぞれの内容ですが(カッコ内は上の実例における金額)、
【A】:「再エネおあずかりプラン」による電気料金(9,524円)
【B】:「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の通常の電気料金(14,837円)
【C】:「再エネおあずかりプラン」のサービス料金(定額4,000円/月)
【D】:サービス料4,000円の追加支払いで引き取ってくれる「買電」部分金額(9,313円)
【E】:「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の売電収入(※1)(3,315円)
となります。
(※1)「ご利用明細」上にはありませんが、メリット(電気代の節約効果)を知る上では、「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の売電収入を把握しておかなければなりません。「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の売電収入は、8.5円(売電単価)×390kWh=3,315円(これを【E】とします)。
「再エネおあずかりプラン」による電気料金
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【A】(電気料金)=【B】+【C】-【D】=9,524円
【A】:「再エネおあずかりプラン」による電気料金(9,524円)、【B】:「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の通常の電気料金(14,837円)、【C】:「再エネおあずかりプラン」のサービス料金(定額4,000円/月)、【D】:サービス料4,000円の追加支払いで引き取ってくれる「買電」部分金額(9,313円)
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となります。
「再エネおあずかりプラン」によるメリット(電気代の節約効果)
(「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の電気料金との差)
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メリット=【D】-【C】-【E】=1,998円
【D】:サービス料4,000円の追加支払いで引き取ってくれる「買電」部分金額(9,313円)、【C】:「再エネおあずかりプラン」のサービス料金(定額4,000円/月)、【E】:「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の売電収入(3,315円)
又は別の計算式で言うと、【B】-【A】-【E】=1,998円
【B】:「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の通常の電気料金(14,837円)、【A】:「再エネおあずかりプラン」による電気料金(9,524円)、【E】:「再エネおあずかりプラン」に加入していない場合の売電収入(3,315円)
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となります。
仮に「再エネおあずかりプラン」に加入せず、売電先を例えば1kWhあたり「11円」の売電単価の電力会社に変更したケースを考えると、我が家の2022年5月の余剰電力は「390kWh」ですので、売電先を変更したことによる売電収入の増加額は、(11円-8.5円(東京電力の売電単価))×390kWh=975円となります。
上記の「再エネおあずかりプラン」による電気代の節約効果は1,998円でしたので、1kWhあたり「11円」の売電単価の電力会社に売電先を変更するよりも効果が得られたことになります。
「再エネおあずかりプラン」に加入した場合にメリット(電気代の節約効果)が出るか出ないかの簡単な判断方法
「再エネおあずかりプラン」に加入した場合にメリット(電気代の節約効果)が出るか出ないかの簡単な判断方法は以下の方法がシンプルかなと思います。
「再エネおあずかりプラン」に加入した場合に、発生するコストは、
プラン料金:4,000円 + 余剰電力が売電できなくなる部分:最大で2,125円(売電単価8.5円×最大250kWh) = 最大6,125円(a)です(※2)。
メリットが出るか出ないかの判断は、
実際に買電した電気料金(電力量料金部分)につき、単価の高い電力量料金部分から順に計算して最大250kWhまで(余剰電力量の範囲内で)足しこんだ値が、発生コストの6,125円(※2)を上回るか否かで決まります(※3)。
なるほど。メリットが出るか出ないか判断するのは、この方法が一番分かりやすいかな。
(※2)ただし、余剰電力、買電のどちらかが250kWhに達していない場合は、上記計算式の「250kWh」部分を余剰電力、買電のうち少ない方の値にして「発生するコスト」を計算してください。例えば、余剰電力が200kWh(買電量は250kWh)の場合は、発生コストは、プラン料金:4,000円+余剰電力が売電できなくなる部分:1,700円(8.5円×200kWh)=5,700円という考え方になります。この場合、余剰電力は200kWhという前提ですので、「実際に買電した電気料金(電力量料金部分)につき、単価の高い電力量料金部分から順に足しこむ」のも200kWhまでということになります。
(※3)上の「ご利用明細」を見ると、「電力量料金単価」部分以外にも「燃料費調整額単価」部分も250kWhまでは引き取りの対象であることが分かります。「燃料費調整額」がプラス(増額調整)の場合は、「再エネおあずかりプラン」におけるメリット(電気代の節約効果)はプラスに働き(引き取りにより支払い対象となる電力量が減るため)、「燃料費調整額」がマイナス(減額調整)の場合はマイナスに働く(引き取りにより減額対象となる電力量が減るため)ということになります。上の「ご利用明細」のケースの場合、「燃料費調整単価」はマイナスではなくプラスですので、2.74円(燃料費調整単価)×250kWh=685円が、「電力量料金単価」部分の引き取りに加わる形でメリット(電気代の節約効果)として出ています。「燃料費調整単価」は、毎月変動し値が一定ではないことから、メリット(電気代の節約効果)を試算(シミュレーション)する際、決まった数値(単価)を置くことができないため、除いて考えるしかないと思います。
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我が家の例(2022年5月)の場合、単価の高い電力量料金順に250kWhまで足しこむと、
〇電力量料金(昼時間、201kWh~):40.75円×16kWh=652.00円
〇電力量料金(昼時間、81kWh~200kWh):35.29円×120kWh=4,234.80円
〇電力量料金(昼時間、~80kWh):26.49円×80kWh=2,119.20円
〇電力量料金(夜時間):12.73円×34kWh=432.82円
〇燃料費調整額:2.74円×250kWh=685円(上記の※3注釈部分)
◎合計:8,123円(b)
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となります。
8,123円(b)(引き取ってもらえる買電部分)が、6,125円(a)(当プランで発生するコスト)を上回っているので、メリットが出ている(差し引き1,998円分)、という判断の仕方です。
【余剰電力が少ない場合】、【買電量が少ない場合】のシミュレーション(=メリットは出ない)
我が家の例(2022年5月)で、極端ですが、仮に、
〇【余剰電力】が390kWhではなく、仮に10kWhだったとすると、引き取ってもらえる買電部分は、
40.75円(昼時間、201kWh~単価)×10kWh=407.50円分だけになります。
〇【買電量】が443kWhではなく、仮に夜時間の電気10kWhだったとすると、引き取ってもらう買電部分は、
12.73円(夜時間単価)×10kWh=127.3円分だけになります。
→極端な例ですが、こういった場合は、4,000円払って「再エネおあずかりプラン」に加入ということは無駄になります。
~まとめ~
〇「再エネおあずかりプラン」に加入した場合に、発生するコストは、
プラン料金:4,000円 + 余剰電力が売電できなくなる部分:最大で2,125円(売電単価8.5円×最大250kWh) = 最大6,125円 である。
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〇メリットが出るか出ないかは、
例えば、余剰電力、買電ともに250kWh以上の場合には、実際に買電した電気料金(電力量料金部分)につき、単価の高い電力量料金部分から順に計算して最大250kWhまで足しこんだ値が、6,125円を上回るか否かで決まる。
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〇【余剰電力が少ない場合】、【買電量が少ない場合】のどちらかに該当する場合はメリットが出ない。
次回は、蓄電池購入の際の補助金の種類と内容、について書きたいと思います。